リリー創業ストーリー① 〜 創業前夜、なぜリリーを創業したか 〜

リリー創業ストーリー① 〜 創業前夜、なぜリリーを創業したか 〜

2022年10月21日

株式会社リリーは、はやいもので、10月で6期を終えます。創業以来、リリーは、WEB技術の会社として、ひたむきに様々な案件の開発を続けてきました。その結果、鹿児島においては一定の評価をいただけるようになってきたと感じています。

一方で満足感は一切無く、もっと様々な産業のDXに携わりたいし、もっと多くの人に役立つプロダクトを作っていきたい。そんな「渇き」を感じています。

全国では、リリーのことを知らない人がほとんどだと思いますし、九州、鹿児島でもまだまだ知名度は低い。もっとたくさんの方々にリリーの存在を知ってもらい、様々な産業においてDX化や開発に困ってる企業様のお手伝いをしたい。そして、私たちと一緒に働いてくれるエンジニア、デザイナーなどにもリリーのことを知って欲しい。

これまで以上に多くの仕事をするためには、多くの人にリリーのことを知ってもらう必要がある。そんな想いで、このリリーブログを始めることにしました。どんな想いでリリーを創業したのか、私たちがどんな想いで業務に向き合っているのか、どんな人たちがリリーで働き、どんな人たちと新たに出会い、一緒に働きたいと考えているか。そんなこと発信できたら良いなと思っています。

最初の記事として、何を書こうかと思案をしてみたのですが、まずは、私がどんな想いでリリーを創業したのかを書いてみようかと思います。

リリー

株式会社リリーは、私が、東京からUターンして、鹿児島のサービス開発会社で、プロダクトマネージャー職を10年ほど勤めたあと、ひとつのスタートアップを経て、2017年に創業しました。

(東京で経験を積んでいた私がなぜ故郷の鹿児島にUターンし、鹿児島の開発会社で働くことになったのかについては、また後日、別の記事として書いてみようと思います)

創業前夜

鹿児島にUターンした私は鹿児島のサービス開発会社で働き始めました。その会社は、鹿児島では珍しく、「我々はメーカーである」ということを大事にしていて、パッケージソフトを全国に展開している会社でした。

この会社における私のミッションは、新たにクラウド事業部を立ち上げて、BtoBのASPサービス(今でいうところのSaaS)を新規に企画し、開発して、展開することでした。結果的に複数のサービスを生み出すことができ、チームのメンバーも数十人の規模になり、一定の成果を出せたのではないかと思っています。私のチームでは「実際に利用するエンドユーザーの声を聞きながら、サービスを作っていく」「誰のために何を作るのか?」というスタイルで取り組んでいたのですが、これは本質的なサービス開発の考えかただと私は考えていて、今でも自分のものづくりの考えの根幹を成しています。

世の中の誰かの役に立つことを体感しながらサービスを作るという経験はとても大きく、やりがいも感じていましたが、一方で悩みも増えていきました。

私が所属していた会社は業界特化の開発会社でした。その業界は技術で解決できる余地が多く、そこに特化する形で会社は成長していました。業界特有の課題や構造などは深く理解できるようになったのですが、私としては「もっと他の業界、業種にも携わりたい」という気持ちが大きくなっていきました。また、会社の成長の過程での戦略変更などもあり、徐々に「この辺で新たなチャレンジをした方が自分にとって成長できるのではないか?」と考えるようになりました。

悩みを抱え始めた頃、私は会社外の活動として「日本Androidの会鹿児島支部」の勉強会を主催していました。そこから、いくつものコミュニティが立ち上がっていて、当時の鹿児島は、エンジニアコミュニティが、とても活発になっていました。そこで、知り合った人達が、次々と起業してスタートアップを設立しているタイミングで、これに近くで触れていたこともあり、自分の中でも起業という選択肢を考えるようになりました。

コミュニティの人たちの動きに感化された部分もありますが、自分自身でも熟考した結果、会社を辞めて、スタートアップ会社を設立することにしました。ただ、自分は経営には向いてないと感じていたし、できれば他の人に経営を任せて、自分はサービス開発に専念できるような環境を作りたいと考えていました。そんな折、たまたま起業を考えていた人と出会い、彼にCEOをやってもらい、私はCTOという形で共同創業することに落ち着きました。CEOになってもらった彼はIT業界の方では無かったのですが、経営の経験はあったので適任だなと考えたのです。

ただ、結果的にこの決断は失敗で、「誰のために何を作るのか?」という私が大事にしている考えとズレていってしまったのです。より良いサービスを作るということよりも、表面的なモノが重要視される戦略になってしまった。このままこの体制を続けていても良いサービスは生み出せない。そう考えて、私はこの会社から離れることを決断しました。期間で言うと1年にも満たないものでしたが、苦い経験として私の頭の中に刻まれています。もちろん苦い経験の中で気づいたことや、改めて自分の中で大事にしている考えなどを見つめ直すことができたのは、後の活動にとってプラスに作用した部分もあります。

リリー創業

自分の理想を実現するには、自分がトップとして責任持って進めていくしかない。苦手ではあるが、自分が経営の責任を持った会社を作るしかない。そう考えて新たに設立した会社がリリーです。メンバーは自分ひとりのみ、資本金は、何とかかき集めた、わずか50万円という小さな始まりでした。

会社名の「リリー」の由来を聞かれることも多いのですが、「”百合”のことです。百合の花言葉は純粋、無垢。私にぴったりじゃないですか」と戯けて返答したりすることもありますが、実際の由来は村上龍のデビュー小説「限りなく透明に近いブルー」に出てくる主人公の彼女の名前です。なぜそこから社名をとったのかは、ちょっと言葉で説明するのは難しいので割愛します。口頭では説明できるので、知りたい方は私に会いにきてください。

(ちなみに、設立後に教えてもらったのですが、「thee michelle gun elephant」の曲に「リリィ」という曲がありますが、これも「限りなく透明に近いブルー」にインスパイアされて作られた曲らしいです。)

これまでの経験と失敗を経て、真に自分の理想とする会社とは何か?それを実現するためには、何をしないといけないか?それをもう一度、自問自答して考えた結果、自分が理想とする会社の定義を2つ決めました。一つ目が「エンジニアにフォーカスがあたる会社にする」で、二つ目は「やりたいことをする。創りたいのを作る」です。そして、ミッションは「創造を続ける」にしました。

リリーが理想とする会社とは?

「エンジニアにフォーカスがあたる会社にする」という考えは、自分自身エンジニアですし、もっとエンジニアに光が当たるといいなという気持ちもあります。ただそれよりも、世の中の会社においてエンジニアが能力をフルで遺憾無く発揮できる環境って少ないかもしれないと思ったことが一番にあります。能力を発揮できる環境、そしてそれが正当に評価される環境。そういう環境をリリーでは作りたいと考えています。

現在のリリーでは、ものづくりの中心にエンジニアを置き、周囲のメンバーはエンジニアをリスペクトし、支え合う。そんな環境ができていると思います。もっと良い環境を用意し、エンジニアにもっとフォーカスがあたる組織に改善していきたいなと考えています。

「やりたいことをする。創りたいのを作る」は一見するとワガママというか傲慢な印象を受けてしまうかもしれません。また「やりたいことだけやって、会社って成り立つのかな?」と疑問に思う方もいるかもしれません。まず最初に誤解を解いておきますが、この言葉はそういうことを言いたいのではありません。前に創業して失敗したスタートアップからの反省からきてるものなのです。

前に創業した会社で「失敗だったな」と思うところはたくさんあるのですが、その中でも、顧客のことやその先のユーザー、そして開発する自分の気持ちをあまり尊重せず、ただ単純に表面的なもの(優越感や話題性など)を重視してしまったことが一番の失敗だったと考えています。

そんな浮わついたものよりも、本質を追いたい。自分たちが、やりたいと思ったこと、創りたい、創るべきだと考えたものを、優先して、選択し、世の中に提供する価値の最大化をはかりたい。そういう想いが「やりたいことをする。創りたいのを作る」という言葉に込められています。

周囲では資金調達したり、メディアに載ったりと「スタートアップ的」な会社も多かったし、前に創業した会社はその流れに乗ってしまった部分がありました。ですので、リリーではそういう流れとは一線画す活動をしていこうと決めました。そのため、社内外には「リリーはスタートアップではない」と言うようにしています。ただここで言う「スタートアップ」は前述のような負の側面のことを指しており、本物のスタートアップのような「成長マインド」はリリーでも持ち続けていきたいとは考えています。急拡大はしないかもしれないけど、本質を見極めながら、世の中に価値を届けていき、自分たちは成長を続ける。そんな会社がリリーの理想です。

「創造を続ける」

リリーの理想を考えると同時に、ミッションも考えました。それが「創造を続ける」です。

リリーのミッション「創造を続ける。」

IT業界は、構造的にさまざまな産業に乗っかって成り立っている業界だと思っています。なので、さまざま産業の方達に役立つサービスやシステムを創り出すことが、自分たちの存在意義だと考えています。そのためには、さまざまな産業の現場を知り、深く理解するよう心がけ、把握した課題に対して、解決や提案のアイデアを出していけるように、新しいことを含め、多様なIT技術やデザイン技術を学び続ける必要があります。

それらをやり続け、ものづくりに真摯に向き合い、世の中のさまざまな産業に役立つものを創り出していく。その結果として、世の中をより良く、豊かにしていく。そういうことを実現していく組織であり続けたい、という思いが込められています。

創造を続けるためには、自分自身が成長し続けなければいけないし、奢ることなく、謙虚な姿勢をもって、ものづくりに真摯に向き合い、決して、テクノロジーの押し付けをすることなく、ただの作業者になることなく、様々な課題に対して、アイデアと技術をもって、中心となって向き合い続けなければいけない。「創造を続ける」ことはけっして簡単なことではない。だからこそミッションに掲げる言葉としては最適なんじゃないかと考えています。